2017-3 美しい星 三島由紀夫

 昭和37年、三島由紀夫37歳の時の作品。自らが宇宙人と思い込んでいる家族。その日常が、これでもかというくらいの文学的表現で、しかも難解な思想のもとに語られ、その落差に滑稽さすら感じられる。家族の長である重一郎と、やはり宇宙人と思い込んでいる大学助教授羽黒の、それぞれ人類を憂いていながら、方や人類救済を訴え、方や人類滅亡を主張する。その激しい議論は圧巻である。三島由紀夫の繊細さと思想の激しさ、文学界にとどまらない、三島由紀夫の挑戦状のように感じられる。

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