2019-34 かくりょの宿飯 十 あやかしお宿に帰りましょう。 友麻碧
かくりょの宿飯シリーズ」というより、私には「あやかしお宿」シリーズのほうがしっくりくるのですが、その第10巻、完結篇です。妖都の地下牢に閉じ込められてる天神屋の大旦那を救出に向かう婚約者の津場木葵と天神屋の従業員たち。隠世を治める八つの実力者たちで構成される八葉の会議、八葉夜行会で天神屋の大旦那が追放されてしまうという危機的状態。なぜ天神屋の大旦那は陥れられてしまったのか、その黒幕は何者かなどが明らかになります。そして、これまでの九巻で登場したあやかしたちがが総動員され、すったもんだの末に結局はハッピーエンドに終わるのですが、あやかし界のドタバタ劇が、人間界のドタバタ劇と一味違った形で展開されて心地よく感じられます。あやかしという恐ろしい世界なのですが、内容はファンタジーに近いものがあります。これで終わってしまうのがもったいないくらいです。あとがきによれば、その後のエピソードについて本にしてお届けするということなので楽しみに待ちたいと思います。物語は一応完結しましたが、主人公の津場木葵の祖父である津場木史郎が何者であったのかが私には分からずじまいで、モヤモヤ感が少し残りました。