2019-35 宿 命  東野圭吾

 1993年の作品で、学園物から脱皮を図るとともに、トリックの意外性を追求した力作なのだそうです。題名である宿命、何が宿命なのかを考えながら読み進めました。主人公である和倉勇作と小学校から高校まで同級生の瓜生晃彦はお互いを意識し反発する。勇作は医者志望も父と同じ刑事に、晃彦は父親が社長の会社を継がずに医師になっていた。そして晃彦の父親の会社で起きた殺人事件で再開する。すると晃彦の妻は勇作の元恋人であった。これも宿命なのか。そしてこの殺人事件の犯人をめぐっての瓜生家の捜査、果たして犯人は誰なのか。一方で、晃彦は殺人事件の捜査とともに、子供のころから抱いていた瓜生家に潜む何かを追い求めていく。殺人事件とともに、何が宿命なのかが解き明かされていく。確かに犯人は誰なのか、という殺人事件のトリックだけにとどまらない別のタイプの意外性が仕組まれていました。東野さんは、最後の一行にその意外性を込めたのだそうです。

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