2019_36 さいはての彼女 原田マハ
中年キャリアウーマン、おそらくマハさん世代を主人公に、旅を通じて元気と勇気を取り戻すことをテーマとした短編集です。第一話は本の題名にもなっている「さいはての彼女」。通販で起業し六本木ヒルズに会社を構える女社長鈴木涼香、沖縄へ贅沢旅行に向かう予定が、寿退社する秘書のたくらみで北海道のさいはての地北海道に行くことになってしまう。そこで出会った女性ながらにハーレーを乗りこなし、カスタムビルダーでもあるナギ。耳が聞こえないにもかかわらず、明るく元気に生きている彼女。都会では経験できない経験する。第二話は、旅仲間の友人が、母親の病で一緒に旅に行けなくなってしまう。その友人にではなく、友人の母に手紙を書くことに、心温まる友人愛、親娘愛の話。第三話は、優秀な部下をパワハラまがいの言動で出社拒否に追い込んでしまう女性キャリアウーマン、自らも休暇を取って冬の北海道へ。そこでタンチョウを保護する人たちと触れ合うことで自らを見つめ直す。そして最後の第4話、これは第一話で登場したハーレーを乗りこなし、カスタムビルダーでもあるナギの物語。なぜ女性ながらにハーレーにのり、カスタムビルダーになったのか、しかも耳が聞こえないのに。突然ナギを訪ねてきた広告代理店の男性、何しに訪れたのか。ナギは旅に出た後で会うことができないが、ナギの母親、ナギが務めるショップのオーナーとのやり取りが心地よい。そして最後にどんでん返しがある。4つの話すべて心に残るいい話であるが、私には第4話が心に響きました。原田マハさんの本は読後が心地がよく、元気が出るような気がします。