2019_39 楽園のカンヴァス 原田マハ

 ニューヨーク近代美術館(MOMA)が所蔵するアンリ・ルソーの名作「夢」、これとほぼ同じ絵「夢を見た」を所有するスイス在住の伝説のコレクター、バイラ―が、その絵の鑑定を二人の人物に依頼する。一人はMOMAのキュレーター、ティム・ブラウン、上司であるトムブラウンとは一文字違いのため、タイプミスで招集されたのではないかと思いながら上司に成りすましてスイスへ向かう。もう一人は、パリ在住の日本人女性でルソー研究において多くの論文を発表している早川織絵。鑑定とは、ある物語を読み、「夢を見た」が贋作が真作かの鑑定を行い、バイラ―に認められたほうが「夢を見た」を譲り受けられるというもの。
「夢を見た」をめぐる美術界の裏事情、バイラ―とは何者なのか、二人の鑑定はどうなるのか、「夢を見た」の行く末は、など、どきどきで美術史におけるミステリーと言ってもよいかと思います。そこに、ルソーの生き様や美術のうんちくも加わり、読み応え盛り沢山でした。面白かったです。

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