2020_24 片思い 東野圭吾
大学時代のアメリカンフットボール部のチームメイトたち、毎年行われている10回目の飲み会の場面から物語は始まる。それぞれのチームメイトはそれぞれの人生を歩んでいた。QB(クォーターバック)だった西脇哲郎、スポーツライターになっており、マネージャーであった高倉理沙子と結婚していた。新聞記者になった者や大企業に就職した者もいる。そしてもう一人の女子マネージャーだった日浦美月、彼女も結婚して子供を産んでいた。
飲み会終了後、出席していなかった日浦美月が突然現れ、驚くべきカミングアウトがなされる。彼女の心は子供のころから男性だったこと、そして、殺人を犯してしまったこと。ここからいわばチームメイトの友情物語的な話が始まるわけであるが、単なる殺人事件ではないことは想像のとおりです。題名は「片思い」ですが、単なる切ない恋物語ではありません。、この本のテーマは性同一生涯やジェンダーといった心と肉体のアンバランスに悩む人たちの苦悩について問いかけています。後半になるにつれ、次々と明らかになる新事実。殺人事件のミステリー性とアメリカンフットボールのチームメイトたちの友情も相まって、とてもスリリングで、考えさせられる内容でありました。