2020_35 探偵倶楽部 東野圭吾
5編の短編ミステリー小説で構成されています。「探偵倶楽部」とは、会員制の調査機関で、それなりの地位と名声をもった人たちが会員です。5編とも殺人事件に絡んだ内容で、いずれの作品も面白く読むことができました。
「偽装の夜」では、自殺に偽装された社長、密室でだれがどうやって殺したのか、複雑な家族構成の中での登場人物の多さに翻弄されました。
「罠の中」は、3人の男が殺人の計画をしているところから始まります。果たして、不動産業の社長がパーティーの夜、浴槽で死亡した。心臓発作ということだが、どこか不自然な点がある。どんなトリックが使われたのか、真犯人は誰なのか。
「依頼人の娘」は、高校生の美幸がクラブを終えて家に帰ると、茫然とした父がいて、母親が殺されていた。その真相は、通常のミステリーの展開とは逆の展開であったように思います。
「探偵の使い方」では、二組の夫婦の亭主二人が旅行先のホテルで死んでしまいます。それぞれの夫婦の浮気問題に絡んだものですが、一組の夫婦の妻が探偵倶楽部に調査を依頼するのですが、実はその前に殺された亭主が探偵倶楽部に依頼をしていました。真実に対して探偵倶楽部とった最後の行動に意地を感じました。
「薔薇とナイフ」では、大学の教授の二人の娘のうちの一人が妊娠する。父親は誰なのか、探偵倶楽部に依頼する。ところが、妊娠していないほうの娘が殺されてしまう。状況は人違いで殺されたようではあるが実はそうではありませんでした。最後のどんでん返しは意外でした。