2020_39 怪しい人々 東野圭吾
1994年に単行本で発刊された7作からなる短編集です。
①寝ていた女:自宅住まいの友達にあいびき用に部屋を何度か貸すことになるが、ある朝見知らぬ女性がベッドで寝ていた。いったい誰なのか、単なるあいびきではなく、後ろで糸を引く者がいた。本当の目的は、ちょっとぞっとする話です。
②もう一度コールしてくれ:野球に青春をかけてきたが、夏の予選敗退後、何をやってもうまくいかず、ついには友人と窃盗にまで手をだしてしまうが、通報されて逃走する羽目に。 逃走途中、逃げ込んだ先は記憶にしみついた住所の家だった。その家の住人は、夏の高校野球予選で、誤審をによって甲子園を断たれてしまった審判の家だった。
③死んだら働けない:休日明け、産業ロボット制作のエンジニアが休憩室で死んでいた。立上げ中のロボットのアームに被害者の血痕がついていたことからロボットの誤動作かと思われたが、前日は、ロボットメーカーの人と一緒だったことが判明する。仕事のやりすぎ要注意、東野さんの会社員時代の経験からの忠告のように感じました。
④甘いはずなのに:3年前、妻が交通事故で亡くなり、再婚を目前に前妻との娘も不慮の事故で死んでしまう。娘は新しい母親になつかず、娘の死因に疑念を持ちながらハワイへ新婚旅行に出かける。そこで判明する娘の死の真相。ちょっと切ない物語でした。
⑤灯台にて:13年前、腐れ縁の幼馴染の二人が大学時代に東北へ旅に出た時の物語り。普通の旅ではなく、所々で落ち合うという旅のやり方。そこに、いわゆる"灯台守"が絡んだちょっと怖い話です。
⑥結婚報告:金沢に住む短大で同級生だった女性友達から結婚したとの手紙が届く。 しかし、同封されていた写真には本人と違う女性が映っていた。これはどういうことか、電話したがつながらず、金沢まで確かめに出かけることに。そこには複雑怪奇な事件が起きていました。
⑦コスタリカの雨は冷たい:カナダ駐在中の日本人夫婦が、コスタリカへ旅行に出かけ、そこで強盗に襲われ惨々な目に合って何とか帰国する。正直何が言いたいのか分かりかねるところがありますが、"住めば都"と言いたかったのでしょうか。