2020_13 金継の家 ほしおさなえ

金継ぎ(きんつぎ)とは、割れてしまった茶碗などの陶器や磁器を漆を使ってはりつけ、元の形に直すこと。美術品などの修復とは異なり、はりつけた跡を残すことによって、新たな器としてスタートさせるものなのだそうです。
そんな金継を行っている千絵さん、80過ぎのおばあちゃんである。今は東京の大森で娘の結子、孫の高校2年生真緒の3人で暮らしている。結子はホテルのコンシェルジェをつとめており、短期間ではあるが金沢のホテルへ単身赴任中。真緒が3歳の時に離婚している。千絵は戦時中、飛騨高山の漆器店である母型の実家で15歳まで過ごし、そこで祖母から金継を教わった。友人の茶碗を直したことをきっかけに本格的に再開した。
進路に悩み始めた真緒が金継に興味を持ち手伝い始める。ある時、真緒が引き出しから漆塗りのかんざしを見つける。これは千絵が、高山を去る際、同級生である漆塗職人の子供、修次からもらったもの。千絵にとっては心の支えになっていた。これをきっかけに、二人で高山に旅行することになる。既に実家はないが、懐かしい人との出会いやがあり、思いがけず修次の消息を追う展開になっていく。
女性3世代それぞれの思いがしみじみと語られ、サブタイトルにあるように暖かい。生きていく中ではいろいろなことがある。その時にはつらかったり悔しかったりしたかもしれない。そうした人生の機微が、かつてのそして現在の漆職人を通して、3世代の女性を通してほのぼのとした感動の物語となっている。将来に悩む真緒が進路をどう決めていくのだろうか、本文には語られていないが想像をしてしまう。

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