2020_21 大河の一滴 五木寛之

 五木寛之さんの本を読むのはこれが初めてです。約20年前の1998年に出版され、最近またブームになっているということで読んでみることにしました。内容は小説ではなく、五木さんの思いを綴ったエッセイです。
冒頭いきなり、「これまでに2回自殺を考えたことがある。」という書き出しで始まります。終戦を現在の北朝鮮ピョンヤンでむかえ、我々の想像を超えた悲惨な状況を乗り越えて引き上げてきたという経験をもち、その内容には含蓄があります。「人は死ぬために生まれてくる。生まれた時から死ぬことを義務付けられている。」といったことや、日本人の宗教観、親鸞、蓮如の教え、現代(20年前)の世相感、自殺者の増加について、命の大切さ、人の生きる力とは、などなど、考えさせられる内容が盛り沢山です。読者のそれぞれの年代で、それぞれに感じられるような気がします。比較的著者の年齢に近い方の私には、そうだよなぁと共感できるところがあちことにありました。若いころ読んでいたらまた違った思いになっていたかもしれません。
たかが草木に着いた一滴のしずくが寄せ集まって川となり、岩や崖にぶつかりながら大河となって海へそそぐ、そして蒸発して再び大地に降り注ぐ。こうした転生を繰り返していく。人生と同じではないか。人間なんてたいしたことことない、たかがあ大河の一滴なんだよ、でも大切な一滴でもあるんだよ、そんな風に訴えているように感じました。
五木さんの文章は押し付けるところがなく、どこか優しく問いかけるような文章です。色々な世代の人が、その人生の時々において元気をもらえる本ではないかと思います。

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