2015_17 想像ラジオ いとうせいこう
とても重い内容でした。東北大震災の津波で亡くなられた多くの人の思い、苦しみ、くやしさ、心残りなどが、ラジオのDJという形で軽快に語られています。亡くなられてからあの世へ旅立つまでのあいだ、この世を彷徨う魂の叫び。この放送は、現世の人には聞こえません、亡くなられた人同しでのコミュニケーション手段ともいえるかもしれません。しかし、ごくまれにこの世の人の中にも聞こえる人がいます。想像ラジオで語られる思いは、当事者でない我々には想像できても、おそらく理解はできないでものでしょう。軽快な語りの中に、思いもよらず命を落としてしまった人たちのくやしさ、寂しさを感じます。そして、大震災で大切な人を亡くされた方たちの思いにもつながります。そんな重い一冊でした。