2017_16 峠 下巻 司馬遼太郎
長岡藩家老、河合継之助。幕末の動乱の中、幕府に見切りをつけ、新政府にもなびくかず、中立の立場で長岡藩を独立国家にすることを目指した。しかし、時代はそれほど甘くなく、官軍との激烈な北越戦争に巻き込まれてしまう。結局本人の思いに反し、藩は亡くなり、多くの犠牲を出すとともに、本人も戦死してしまう。本編には出てこないが、当時恨まれたとのことである。継之助の言動は、読者であり歴史を知っている我々には理解することができる。しかし、当時の人たちには理解できなかったのではなかろうかと思う。司馬遼太郎は、最後の武士を描きたかったと述べている。その武士の魂と卓越した時代の洞察力からくる行動は奇異に見えたであろう。