2019-31 どちらかが彼女を殺した 東野圭吾

 愛知県警で交通課の警察官を務める和泉康正に、東京で仕事をしている妹、園子から疲れた声で明日帰るとの電話がはいる。しかし2,3日たっても妹は帰らず音信不通に。康正は心配になり妹のアパートを尋ねると、妹は自殺のように思える状態で死んでいた。康正は、状況から自殺に見せかけて殺されたと考え、敢えて自殺であるかのように手を加えてから警察に通報する。警察に自殺と思ってもらわないと復讐ができないからである。そして復讐のための犯人捜しが始まる。しかし、敏腕刑事の加賀恭一郎は自殺に疑念を抱いて捜査を進めていく。一方園子は、恋人を信頼していた友達に取られてしまうという、いわゆる三角関係に悩み、兄に電話を掛けてきたことが明かされるのだが、果たして何があったのか。康正は、徐々に犯人は園子の元恋人か、信頼していた友人のどちらかであるとことに行きつく。その過程での加賀刑事との駆け引きが面白い、容疑者二人とのやりとりもスリリングである。単なる三角関係のもつれでどうして殺人事件になってしまうのかとの疑問を持ちながら、最後の最後までどちらが殺したのかわからない、本当は自殺だったのでは、とも思えてくる。自殺に見せかけたトリックをどう見破るのか、犯人はどちらなのか、後半の4人のやり取りは圧巻である。

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