2020-1 古事記神話入門 三浦佑之
これまでに何冊か古事記関連の本を読みましたが、最も分かりやすく、著者の理解の深さを感じる本でした。出雲神話を中心に、口語訳された古事記の内容を示し、その解説文を掲載する形で書かれています。私とっては、“かゆいところに手が届く”的な感覚でした。たとえば、神武天皇即位が、なぜ2600年も昔に設定されたのか、欠史八代の天皇はなぜ生まれたのか、古事記と日本書紀の違いはと「記紀」と表現してしまったことの弊害、古事記には出雲神話が多くを占めているのに、日本書紀にはなぜ出雲神話があまり記載されてないのかなど。単なる古事記神話の内容だけでなく、歴史的な見解も述べられています。また、この本は、元々は2012年に書かれた『あらすじで読み解く古事記神話』の文庫化にあたり加筆された部分が多数あり、令和元年の天皇の即位や、女性天皇のについては新鮮でした。そんな中で、女性天皇について、そもそも天皇家の祖先神アマテラスは女性ではないか、という投げ掛けは面白かったです。