2020_18 名探偵の掟 東野圭吾

 「名探偵の呪縛」に続いて、「名探偵の掟」、こちらは短編集ではありますが、名探偵、天下一大五郎と凡庸警部の大河原番三がほぼ一貫して登場、天下一が事件の謎解きをする形をとっている。ただ、ここ書かれている物語は、他なるミステリーの謎解きではなく、作者目線、読者目線、読者はただの読者ではなくミステリーに詳しい読者を想定している。そうした視点で、いわゆる古典的なミステリーのトリック手法、密室殺人ダイイングメッセージ、童謡殺人など、を批判するような、解説するような、一風変わった内容となっています。東野さん自身の思いを語ったものなのか、読者に対する警告なのか、あるいはメッセージなのか。少なくとも東野さんのミステリーに対する思いが語られれているのは事実のようです。解説によれば、この本が書かれたのは1996年、この後、東野さんは古典的なミステリーから、東野さんならではの推理小説を発表しているようで、作風の変化のきっかけ、あるいは浅間であったのかもしれません。

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