2020_31 アノ二ム 原田マハ
キャンバスに絵の具を垂らしたような抽象画の作者、ジャクソン・ポロック。有名な抽象画家なのだそうですが、正直私は知りませんでした。そのポロックの幻の抽象画の原点となる作品「ナンバーゼロ」が、香港で行われるサザビーズのオークションにかけられることになる。その落札を舞台に、題材にもなっている「アノ二ム」のメンバーが本物と贋作のすり替えに挑む。「アノ二ム」とは「作者不詳」の意味で、メンバーはアート会の名だたる人物たち、チーム「アノ二ム」の目的は、“善意の搾取”、詳し説明は省きますが、知りたい方は是非一読を。その「ナンバーゼロ」を何としても落札しようとする大富豪。そして落札額を史上最高額まで吊り上げようとする、サザビーズのオークショニアであり、アノ二ムのメンバーでもある“ネゴ”。クライマックスともいえるオークションでの場面はスリリングさが伝わってきます。そしてすり替えられる贋作を描くことになる香港の高校生の張英才(チョンインチョイ)が、物語りのキーマンになっています。果たしてオークションはどうなるのか、すり替えはうまくいくのか、すり替えた本物はどうなるのか。マハさん得意のアートサスペンスです。