2020_28 ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾

 有名演出家のオーデションに合格した7名が、山荘に集められた。3名が女性で、男性1名以外の6名は同じ劇団に所属している。 山荘に集められた理由は、演出家の先生のアイデアで、題名にあるように、閉ざされた雪の山荘という状況を設定し、4日間を共に過ごし、人が追い込まれた状況においてどんな行動するかという実験的な演劇をするというもの。参加者たちは、不安を抱きつつも、オーディションの続きではないかという思いがあり参加せざるを得ない状況になる。何が起こるかわからない中、1日目の夜中に女性一人が姿を消した。死体はないが、そこにあることにすると書かれた紙が残されていた。7人、いや6人のうちの誰かが演出家の先生から指令を受けた犯人ではないのか、あるいは第三者の仕業なのか。殺人の様子も、リアルに描かれ、演じているとは思えないような描写になっている。 そしてまた一人、殺されたこととして姿を消した。 残されたものたちの間で探り合いがはじまる。参加者全員が役者であり演じることがうまい、どこまでが演技でどこまでが真実なのかが分からない。演出家の先生も何を考えているのか分からない、そういう人らしい。何人殺されるのか、もしかしたら、本当に殺されていて、全員が殺されるのではないかという恐怖が襲う。
ストーリーが進むにつれ、少しづつ、それぞれの登場人物の背負った背景や人間関係が明らかにされていくが、誰が犯人で、どうしてこういう状況になっているのか、最後の最後までなかなかわからない。同じ劇団員ではない男性が、本文中で「独白」という形で思いが語られているが、それでも犯人ではないとは言い切れなかった。ただ、キーマンであることは確かである。
最後の種明かしで全貌が明らかになるが、なるほど、そういうことだったのか、という感じである。
東野作品、古い作品ですが、相変わらず凝った内容で、楽しく読めました。

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